
雨真っただ中。お散歩準備をしていたらパラパラと雨が降り、「早く止んでください!」と残念そうな表情を見せたり、梅雨空の合間に公園で思い切り体を動かし汗だくで帰園したり…こどもたちは元気に日々を過ごしています。
そんなこどもたちの様子を、丁寧に捉え発信しているドキュメンテーションが、とても充実して面白くなってきました。ドキュメンテーションとは、イタリアのレッジョ・エミリア市から発祥した教育思想のひとつで、こどもの活動を写真や文字(時には動画や音声)などで視覚的に記録するというものです。こどもの探究活動や今の姿を具体的に記録し、保育者やこども達が活動を振り返り、次の活動へ生かすことを目的としており、当園では定期的にドキュメンテーションの勉強会をしながら取り入れています。
風車が回っている様子を眺めていた2歳児。ふと下を見ると影もクルクル回っているのに気付きます。ともすれば見逃してしまいそうな小さな気付きを保育者は丁寧に捉え、「今度はどんな“発見”をするのか、一緒に楽しみながら探していきたいと思います」と綴っています。また、3歳児が砂場遊びを終える時の心の動きを綴った「遊びの終わらせ方」では、その子が遊びを通して自分を律する心が育っている事が丁寧に描かれていました。保育者がこどもたちを優しいまなざしで見つめながら、こうした活動の一つ一つを捉えているのが伝わり、私も温かい気持ちになりました。
倉橋惣三先生は、著書『育ての心』の中で「自ら育つものを育たせようとする心、それが育ての心である。世にこんな楽しい心があろうか。それは明るい世界である。温かい世界である。育つものと育てるものとが、互いの結びつきに於て相楽しんでいる心である。
育ての心。そこには何の強要もない。無理もない。育つもののおおきな力を信頼し、敬重して、その発達の途に遵(したが)うて発達を遂げしめようとする。役目でもなく、義務でもなく、誰の心にも動く真情である。」と綴っています。
自分で学ぼうとする気持ち(=好奇心)やその子のあるべき姿を無理に抑制したり、こどもの行動を制限することなく、保育者が見守り、こどもたちとの日々を楽しみ、こどもと心を通わせることで安心を与え、そして、更なる好奇心を保障していく…その姿をドキュメンテーションで丁寧に綴ってくれる職員とともに、これからも過ごして参ります。
記:園長